母子の訪問看護は、妊産婦の訪問看護と小児の訪問看護を対象にしています。
妊産婦の方への訪問看護
対象
- 多胎児の妊産婦さん
- 病気や障がいを持つ妊産婦さん
- 心が繊細で不安が大きい妊産婦さん
近年、お母さんが35歳以上での出産率は2000年は約12%、2008年は約21%、2015年は約28%と年々増加しています。お母さんが35歳以上の場合、卵巣や子宮の機能は年齢ととも低下しやすく、染色体異常や糖尿病、高血圧などの病気をリスクが高くなりやすいと言われています。
また35歳という年齢であるゆえに、妊娠前は社会的に自立していたり、仕事で責任のある役割を任せられていたりして精神的ストレスも多い傾向があります。加えて、核家族、共働きであり周りに子育てをサポートしてくれる方が少ない、祖父母も高齢であり子育てのサポートをしてもらえないなどで、精神的、社会的に1人で子育てをしないといけない状況となり、妊娠や出産を機に精神疾患を発症したりするケースも多いです。
また、近年、医療の進歩によりお母様が妊娠前から病気や障がいがあっても安全に妊娠、出産ができるようになりました。しかし、お母さんが病気や障がいを抱えながら子育てをしていくには、サポート体制やコミュニティー、情報も少なく、自宅から外出ができないや社会との繋がりが持ちにくいなど、お母さんは孤独になりやすい環境が多くあります。
それと同時に多胎児の出産や育児も、お母さんの体と心への負担は大きく、外出しにくいことなどで孤立しやすいということが社会問題となっています。
お母さんの妊娠中の精神状態や家庭内環境は、学童期になりお子さまの情緒や不注意、多動、行為問題などの行動面に大きく影響を及ぼすと言われています。そこで妊娠中から子育てでの母親役割の習得段階において切れ目のない支援を継続的に行う必要があると考えます。
どんな事をしてくれるの?
精神面のサポート
妊娠をきっかけに、1人の女性から母親になる役割を習得していくにも段階があります。母親役割を習得する期間にかかる時間はそのお母さんによって様々です。妊娠中から出産後、病院に入院をしている段階で習得される方もいらっしゃれば、病院を退院後、初めての子育て、ライフスタイルの変化、家族役割の変化により年単位で習得される方もいらっしゃいます。
ななーるでは、妊娠期間中からお母さんとお会いして「どのような子育てをしていきたいか」などの思いを知り、必要な機関と連携しながら、お母さんのペースに合わせて母親の役割習得をサポートします。
医療的ケア
お母さんの病気や障がいの悪化、急激な変化がないかを観せていただき、異常を早期に発見して早期対処できるよう努めます。主治医との連携や各機関と連携し、お母さんの身体的、精神的負担を軽減できるようにサポートしていきます。
育児支援
多胎児で育児が困難であったり、お母さんに病気や障がいがあったりするが故に、育児の情報を得にくかったり、地域のコミュニティーに出かけにかったりする事で、普段なら相談しやすいママ友を作る機会も減ってしまいます。
そのため、母乳についての相談や「首がすわるのはいつ頃?」「お顔の湿疹はおかしいの?」「離乳食はいつ頃から始めたらいいの?」など、お子さまの成長や発達に応じた不安に応え、赤ちゃんとの関わり方をサポートします。
小児への訪問看護
対象
- 小さく生まれた赤ちゃん
- 病気や障がいを持つ赤ちゃん
- 医療的ケアが必要なお子さん
近年、医療技術の進歩により、早産や障がいを持つ赤ちゃんの救命率が上がり、そのような赤ちゃんが、自宅で生活できるようになりました。日常生活を送る上で痰の吸引や経管栄養などの医療的ケアを必要とする「医療的ケア児」。その数は2016年時点で約1.8万人、人口1万人当たりに換算すると1.44人とされています。
※厚生労働省研究班が診療報酬(在宅自己注射指導管理料等を除く全ての在宅療養指導管理料)の算定件数に基づいて推計したもので、10年間で2倍に増えています。
そこで重要になってくるのが、特に小児ではお子さんを抱える母親、家族の精神的な支援、障がいや病気への受容に対する支援、医療ケア・発達や発育に伴う支援体制です。
そこでななーるでは、看護師、助産師がご自宅に訪問し、赤ちゃんの成長・発達、ライフスタイルの変化に合わせたケア、お母さんやその家族の精神的な支援を行い、赤ちゃんとそのご家族が安心して在宅での生活が送れるようにサポートします。
どんな事をしてくれるの?
ご家族の精神面へのサポート
お母さんやご家族が、病気や障がいを持って生まれた赤ちゃんを育てることに自信を持つには、プロセスが必要です。そのプロセスに応じて看護師、助産師が心を支え、相談や傾聴、地域や必要な機関との連携調整を行いサポートします。
赤ちゃんに病気や障がいがある場合、24時間、365日、不安や疑問が出てくるのが当然だと考えます。また発達段階に応じても様々な悩みや不安が出てくるのが当然です。その不安や疑問、悩みに対して、いつでも看護師・助産師が相談に応じ、地域の必要な機関と連携をとりながら、お母さんやご家族が自宅で安心して育児できるようにサポートします。
赤ちゃんの清潔面へのサポート
人工呼吸器や在宅酸素をしているなどで、ご家族だけでは入浴やシャワー浴が難しい、または怖くて不安がある場合は、ご家族を支えながら、赤ちゃんが身体の清潔や入浴によるリラックや気分転換を促せるようサポートします。
お子さんの医療的ケア
気管切開や人工呼吸器・酸素吸入を使用していたり、痰の吸引や経管栄養、導尿などの医療処置が必要なお子さんに対して、ご家族の不安に応え、自信をもって対応できるようサポートします。
また体調変化に応じた対応のアドバイスや、異常の早期発見・早期対処にも努めます。
病状によっては、専門の医療機関と連携しながら、注入栄養だったお子さんを口から食事を摂取できるようにサポートするなど、ご家族と共に取り組みます。
療育に対しても、発達段階に応じた発育を促す関わりをご家族と一緒にサポートしていきます。
リハビリに関しては、専門の小児リハビリの医療機関と連携します。