「晩酌が楽しみ」という寝たきりの療養者さん
在宅で療養をされている方々の現状を理解するために、今週は、訪問診療を行う医師に3日間同行し、様々な療養者の方とお話をさせていただきました。
最も印象に残ったのは、24時間をベッド上で過ごす、永久気管孔で呼吸されている方のことです。全身状態に浮き沈みはあるようですが、私が訪問させていただいたときは状態がよく、笑顔を見せてくださいました。声帯を取っているためスムーズな会話は困難ですが、日々の楽しみを伺うと、ゼスチャーを含めて「毎晩の晩酌」だと答えてくださいました。
病院ではお酒が飲めないので、一刻も早い退院を希望されたそうです。
看護師を募って望む生き方の実現を支えたい
寝たきりで、全身の循環動態は不安定。そのような人が晩酌を楽しまれている姿など、医療現場の人たちには想像できないことだと思いました。医療の視点だと、状態を安定させるために禁酒を強いるのが常識です。でも、その人の命はその人のものであり、その人が望む生き方を尊重しながら診療を行う医師の姿に、多くの学びを得た気がしました。
病院では、患者さんの意思を尊重したくても、ルールに沿うことを強いらざるを得ない場面がたくさんあります。病院は集団生活であり、致し方ないですが、在宅は違います。その人の意思がルールになります。
「もっと患者さんと密にかかわりたい」と望んでいる看護師をたくさん募って、患者さんが望む生き方の実現に向けてみんなで一緒に考える、そんな訪問看護ステーションにしたいと改めて思いました。
所長ブログに戻る