家族みんなで過ごした母の最後のお正月

突然がんを発症した母

正月毎年欠かさずがん検診を受けていた母。皮肉なことに、一度だけ検診を受けなかった年の夏頃から、突然体調を崩し入院。病名はスキルス性胃がん。
進行がとても早いタイプのがんで、この状況で手術は無理と説明を受け、絶望的な気持ちになりました。でも家族みんな、奇跡が起こるのを信じて、抗がん剤治療に臨むこととなりました。

転移して、全身状態は悪化

母の年齢は57歳。早くに結婚し、私と妹の二人を一生懸命育ててくれました。父は定年後の生活を母と一緒に楽しく過ごそうと、駅前に新築マンションの購入を決めたばかりでした。その矢先、突然の母のがん宣告。
相当ショックだったと思いますが、1人でグッとこらえている様子でした。抗がん剤治療を何クールか繰り返しましたが、がんが無くなるどころか、肝臓やリンパ節に転移し、全身状態は悪くなっていきました。

最期の時間をを父と一緒に

母に最期にしてあげられることは何か?みんなで考えた結果、新しいマンションに母を連れて帰り、少しでも多くの時間を父と一緒に過ごせるようにしてあげることになりました。痛み止めの麻薬を使用していたので不安でしたが、訪問看護師さんがフォローしてくれたので、母も安心した様子でした。
きれいなマンションで、家族みんなでお正月を過ごせたことで、両親にとってよい思い出ができたと思います。いよいよ状態が悪くなり、もうこれ以上は家族で看るのは限界になったので、大学病院に再入院。一週間後、母は亡くなりました。悲しみは尽きませんが、母の看病をした経験は、これから生きていく上で、とても大きな力になると信じています。